Takamatsu Jr. Club ~ドッジボールクラブ~ 第弐ブログサイト

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ドッジボール・ラノベ『飛球少年』 その拾参 ~陽平の秘密~

窓からシトシトと音が聞こえて目を覚ますと、案の定、空は黒く淀んだ雲が一面を覆っていた。
天気予報は見事に当たり、雨が降ったことで地面に水たまりが出来ている。
(やっぱりな……。陽平に電話しねーと。)
布団から起き上がりパジャマ姿のまま、リビングに置いてある電話のそばに近寄った。
すると、母さんが台所から顔を出した。
「あら、おはよう。
さっき、陽平君から電話があってね、外で遊べないから陽平君の家で遊ぼう、だって。」
「あ、そーなんだ。うん、わかった。
着替えて、ご飯食べたら行ってくるよ。」

陽平は俺の階の一つ上だ。
俺は時間を見て、陽平の家に向かった。
「あ、隆太、いらっしゃい。」
「よっ。これ、母さんが持ってけって。」
持ってきた手土産は、クッキーやチョコレートなどのお菓子の詰め合わせだった。
それを陽平はジュースと一緒に部屋に持ってきて、俺からの土産を俺が食べたら意味ないんじゃないか、そう思いつつも頬張っていた。
「隆太、雨降ったから練習出来ないね。」
「うん。でも陽平、話があるんだよな?」
「そうなんだ。
あのさ、俺がドッジボールやり始めた事を隆太に黙ってた事を謝りたかったんだ。
本当は隆太、ドッジボール好きだから、言ったらやりたがるだろうなって分かってたんだけどさ、俺、これだけは隆太に負けたくなかったから。」
俺は、陽平の言葉をすぐには受け止めきれなかった。
今、陽平は自分から秘密にしていた、そう言ったんだ。
「え、なんでだよ!なんで俺に教えたくなかったんだよ!」
俺は、ただでさえ練習についていくのがやっとな状況に苛立ちを感じているにも関わらず、爆弾を投げつけられた気持ちだった。
「実は僕、前から隆太が羨ましくて仕方なかったんだよ。
どのスポーツもできる隆太がかっこ良くて、でも僕はあまり運動得意じゃないから……でも、お父さんから競技としてのドッジボールを教えてもらって、僕は本気で強くなろうって思ったんだ!
これだけは、絶対に隆太に負けたくなかったから!」
だんだんと語尾が強くなり、陽平は少し興奮しているようだった。
「だから、本当にごめん!
でも僕、隆太と出来て嬉しいのは嘘じゃないよ!」
必死に伝えようとする陽平に俺は、もう怒ることも出来なくなってしまった。
伝わってくるのは謝りたい気持ちと、強くなりたいと思う陽平の本気だった。
俺はこれまでのことを思い返してみた。
(あ、俺、自分のことばっかりだった。
陽平、こんなに必死にやって来たんだ。)
それがわかった今、俺がやるべきことはひとつ。
「陽平!俺も本気で頑張るから!
だから、絶対に強くなろうぜ!!」